38:名無しNIPPER
2019/11/20(水) 00:31:51.07 ID:q4097vYe0
それからサラに軽々と背中におぶられて
いつの間にか川から上がって
そのままおぶられながら夕焼けの道を行きました。
「サラ……どうしてわかったのですか?」
「口笛を吹きましたでしょう?」
「それだけ……?」
「残りは秘密です」
そう答えるサラの声は、とても穏やかで優しくて
まるで今がいつもと変わらないかの様でした。
「だってサラ、そんなことだけで見つけるなんて」
サラが顔だけ少しこちらに向けて、柔らかく微笑んだ表情が見えて
「いつだって、どこにいらしたって、必ず私が見つけて差し上げます」
夕日に照らされたそれは、どこまでも綺麗で
「私はライラ様のメイドですから」
……あぁ、そうか、そうだったのでございますね。
小さい頃に何度もおぶってもらったのも
今日のライラさんがすぐにみんなに見つかってしまったのも
なんだ、簡単なことだったのでございますね。
「……サラ」
「はい」
『ありがとう。私、やっぱりこの場所が好きよ』
「……ライラ様?」
『今くらい母国語でいいでしょ?日本語使うのけっこう大変なんだから』
『……えぇ、そうですね』
そう、何も変わってなどいなかったのでした。
ゆらり揺れる夕暮れも、いつもより高く遠くまで見えるこの景色も。
きっとこれからも、ずっと
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