タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/04/05(日) 11:44:05.31 ID:iIT1uubs0
>>82
「血塗られた手紙」
三か月ぶりにポストを開けると、小さな横型封筒が一つ、横たわっていた。各辺に、棕櫚のような植物の模様が、やや赤みを帯びて描かれている。
差出人の名前はなく、宛名だけの飾り気のないものであったが、消印はきちんと押されていて、母の住所に近い郵便局の消印だった。
四か月間もの長きにわたり、母からの手紙は途絶えていたのだった。それまではひと月からひと月半に一通程度、欠かさず届いていたのだ。母は一人で暮らしていたから、手紙を書く余裕もないような大病を患ってしまったか、アルツハイマー病や認知症といった記憶障害を伴う何かになったのか、と考えていた。
そのためか、差出人不明の怪文書(?)であることにも気づかず、毫の逡巡もなく開封してしまった。中身は一枚の、罫線が十行前後ある便箋だった。いつも母が寄越す手紙はいつもこのシンプルな便箋なのだ。自室に戻り、炬燵机でそれを読んだ。
「こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。しっかり三食食べて、健康でいますか。母は心配です。お前が死にゆきつつある時を想像すると、恐ろしくて寿命が日々加速しながら縮んでいく思いです。返信の一つでも、電話の一つでも寄越してください。そしてお前の声を聴かせてください。それだけでも、母は幸せな気持ちになります。お願いです。」
ところどころ震えていたが、母の字で、安心感を抱かせる文面だった。変わらない母の手紙。
しかしその次の行からは小筆の、なぜか赤い文字で、中心が大きくぶれた文章が連なっていた。稚拙な文体で、下手な文字で。
「おまえの母おやはずいぶんいい人みたいだ、むす子のようすをこんなに心配して、しあわせをねがっていて、ぼくはとてもうらやましい。こんなお母さんがほしくってたまんなかったなあ。だからもらおうとしたんだけど、だれあんた、やめてやめて、ってうるさかったのでだまってほしかったからべしってたたいたらぐったりしちゃった。たぶん殺しちゃったんだろうな、と感じて、とりあえずこまったからばらばらにして血を全部ぬきとってみた。どす黒い血もあったけど、きれいなピンク色の血もあったから、そっちをつかってみた。ためしにそれで字を書いてみたらすごく、太ようみたいにあかるかったから、書いてたと中のてがみのつづきを書いてみました。これがそれです。あなたのお母さんの血で、ぼくは文しょうを書いてみました。どうでしょうか?」
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