タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7
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124:名無しNIPPER[saga]
2020/02/08(土) 18:31:50.26 ID:xQiuWquH0
上方から街灯の光がわずかに射し込んでいるのみで、辺りはほぼ真っ暗だ。
俺は独りでここにいる。体は、動かない。
しかし、俺にはエモノがいる。諦めるわけにはいかない。


「誰でもいい!誰か!俺を見つけてくれ!俺はここにいる!」


精一杯呼びかけてみるが、いつも通り誰も応えない。
俺が完全に朽ちる前に、なんとしてもエモノを見つけなければならないのに。

日々、俺の体は……実にゆっくりと……朽ちていき、それを実感する度に焦る気持ちが募っていく。
「誰かいないのか。誰か、俺の声を聴いてくれるやつは……」と。
昼も夜も、俺はただ見上げながら助けを呼び続けることしかできない。


……


ここに来てから……たぶん……数年経ったある日の夜。
ギリギリの体で、いつものように呼びかけていた。


「助けてくれ!ここにいるんだ!ここから出してくれ!」


そうしていると突然、辺りが真っ暗になった。
いや違う。誰かがこちらを覗き込んでいる。あれは女……か?暗くてよくわからん。


「聞こえたのか!?」


女は俺の声を聞いて目と動かし、疑問の表情を浮かべた。


「ここにいる!俺をここから出してくれ!お前なら簡単だろう!」


そいつは頷くと、何も言わずにたやすく天井をどけてみせた。
腕を伸ばし、俺の身の丈よりも大きい手で俺を持ち上げる。
明るくなってわかったが、どうもまだ子供のようだ。十五、六ってところか?なるほど、学校の制服を着てるな。

ようやく得物が手に入ったが、子供か。まあ贅沢は言ってられんな……


……


「俺の声が聞こえたってことは、お前には才能があるってことだ。きっとヒーローになれる!」

「それに、お前のような才能を持ったやつは遅かれ早かれこの戦いに巻き込まれんだ。そら、後ろを見てみな」


手の中から聞こえてくる声に従って振り向くと、スーツを着た男が立って、私の手元を見ている。
血のついたナイフを持っているのはまだしも、翼まで生えている。
しかしそんな中で一番不思議なのは、声の主やナイフの男に対する恐怖が湧き上がってこないことだ。


「俺を構えろ!」


声が聞こえると、私の体が動く。知らない金属の塊を、箸やペンを持つように自然に構えた。
視界の中ですぐに、金属の突起と男の頭が重なった。その突起は走り出した男の頭にくっついて離れない。


「撃て!」


声が導くまま、驚くほどあっさりと、私は引き金を引いた。



>>123のタイトル「拳銃と少女」
このタイトルだと拳銃が主体なんじゃ?と思ったので……


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