タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7
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110:名無しNIPPER
2020/01/31(金) 20:40:59.42 ID:bLnjM0Fp0
>>「自殺保険」

叔父が死んだ翌日、真っ黒な男が来た。スーツ、ネクタイ、革靴はおろか、靴下、髪、果てはワイシャツ、肌まで黒かった。それは人種的な黒い肌ではなく、人工的な黒い肌である。日焼けサロンに足繁く通ったかのようだ。

「田川寿彦さんのことで参りました」と男は言った。田川寿彦というのが叔父の名前である。

「あなたは誰ですか。初めて見ますが」

「こういうものでございます」遅くなりましたともいわずに一枚の名刺が二人の間に置かれた。明海保険自殺保険部・藤村操二。

 自殺保険?

「田川さんが自殺なされましたので、受取人のあなたをお伺いした次第です。保険金の受取については後程お話いたします」

「受取人にされていること自体、初耳なのですが」

「もちろんです。自殺保険ではご本人からの自発的な申し込みがない限り、契約を売り込むなどいたしませんからね」

「その自殺保険というのはいったい何なんですか?」

「自殺にかかる保険です。自殺のみにしかかからないのですが、手厚いですよ」

 ぼんやりと頷いた。独り身だった叔父が私を受取人にするほど信用していた、そのことは私をわずかに上気させた。

「しかしあなた、自殺保険についてわかっているはずではないでしょうか。……」

「そうですね。しかし叔父が入っていたことにやや動転してしまって……」

 垂れてきた鼻をすする。花粉のせいか、このところ調子が悪い。

「叔父の最後はどうだったのですか」

「詰めが甘かったんですかね、彼は首吊りの縄を締めたはいいものの、いざぶら下がるとそれが抜けてしまったんですね。可哀そうに、痛みでのたうち回っていました。だからね、僕ではないんですが担当者がきっちりと絞めてあげましたよ。僕が彼の体を支えてね」

>>94 それは僕のミスです。あんまりにも隠しすぎました。


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