372: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/08/03(月) 03:33:32.74 ID:Lcr1vf/j0
叢雲『船が船として活動するのは人が乗っている時だけよ。今でこそ様々な役割があるけれど根本的に船は人を乗せ運ぶものなのよ』
男『つまり寝てる艦娘は人のいない船…』
空っぽの船。空洞で伽藍堂で、何も無い。
叢雲『意識を失うってそういう事よ。私達は寝ている時人としての部分が限りなくゼロになる。おかしな話よね。船としては寝ているのに逆説的に殆ど船になるのよ。何も言わない、何も思わない、何も感じない空っぽに』
男『それは意図的に出来るのか?』
叢雲『慣れれば。個人差はあるけれどね。未だに"寝付き"の悪い娘はいるもの』
男『なるほどね。それが艦娘の"寝る"という事か』
ならば海の底で眠るという表現は正しくその通りなのだろう。もはや目覚めることがないという点を除けば艦娘にとって眠るというのは陸だろうと海底だろうと大差はない、のかもしれない。
男『だがそうなるとますます分からないな。それが眠るという事なら提督と寝る理由はなんだ?』
叢雲『それは…』
再び顔を赤くして俯く。しかし直ぐに顔を上げ意を決したように俺を見据えて言った。
叢雲『それは、本当に眠ってしまうのが怖いと、嫌だと、思ってしまったからよ』
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