Helleborus Observation Diary　-SS速報VIP

Helleborus Observation Diary　

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241:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 20:50:13.82 ID:QkS64LeQ0

　体を離されたとき、その子の口がなにかのかたちに動いていた気がしたけれど、わたしも同じように動かせたか自信がなかった。

　次はうまく反応できるといいけど、と数秒目を瞑る。
　そのうちに、ボールの投げ合いがまた始まった。

以下略 AAS

242:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 20:53:16.97 ID:QkS64LeQ0

　突然手を握られて、ちょっと驚いたり、困ったりしないのかなと思ったけど、ふゆはなんでもないような様子で、その子と目を合わせて話をしている。

　もしかして、けっこう仲良いのかな……。まったく知らなかった。

以下略 AAS

243:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 20:54:02.83 ID:QkS64LeQ0

「うん、知ってる。友達だよ。……でもどうして？」

「見てたから、その見てる桃を私は視界で捉えた」

以下略 AAS

244:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 20:55:00.18 ID:QkS64LeQ0

＊

　放課後になって、ふゆと二人で園芸部の部室に向かう。

以下略 AAS

245:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 20:55:43.82 ID:QkS64LeQ0

「すぐ終わります。なんていうか、テストよりもそっちの方が気になってしまって」

「なるほどねー、テスト前にふと気になって部屋の掃除とかしちゃう感じ？」

以下略 AAS

246:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 20:56:33.17 ID:QkS64LeQ0

「そう。もしよかったら部活、入らない？　あ、こんなときだけ顧問ぶりたいとか、そういうんじゃないからね？　冬見さん」

「あっはい。思ってないですよ？」

以下略 AAS

247:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 20:58:07.92 ID:QkS64LeQ0

「あぁもうこんな時間。二人ともテスト勉強も頑張ってね。特に数学、今回はわたしじゃないから難しいよー。あと、カメラは明日返してくださいね」

　と先生は朗らかな調子で言って、コツコツと靴を鳴らして歩いていく。

以下略 AAS

248:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 20:59:04.65 ID:QkS64LeQ0

　カメラの設定をしているふゆを横目に、前に進んで手すりをつかみ、東側の校庭の様子を眺める。
　やっぱり人はいない。中庭にも人はいない。少し遠くでは、新幹線が線路を通過していっている。

　不意にパシャリと音が聞こえて振り返ると、わたしにカメラが向いていた。

以下略 AAS

249:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 21:00:00.73 ID:QkS64LeQ0

　ひとつひとつを撮りながら名前を言って、わたしに教えてくれる。
　その声音が、表情が、撮っている姿がとても楽しそうで、思わず「ふふ」と声が漏れる。

「もっと詳しく聞いてみたいって言ったら、ふゆ、教えてくれる？」

以下略 AAS

250:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 21:00:53.23 ID:QkS64LeQ0

「たいしたことじゃないんだけどね」

　記憶の中から言葉を見つけるように、一拍置いて、

以下略 AAS

251:名無しNIPPER[saga]
2021/09/20(月) 21:05:03.70 ID:QkS64LeQ0

　予想外の言葉にわたしが黙ると、この場所にしんと沈黙が流れた。目を合わせようとしたら、ふゆの顔がふいっと横に逃げる。

　風は吹いていなかったけれど、その動きでふゆの髪が揺れる。耳元のベージュカラーの髪が、曇り空からのわずかな明かりで、つやつや光っていた。

以下略 AAS

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