46: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2019/10/03(木) 20:53:55.31 ID:wT2tO75h0
瞳子「……高校1年生の時に大分から上京してきました」
のあ「目的は」
瞳子「芸能界でお仕事をするために」
真奈美「単身で、かな」
瞳子「はい。遠い昔のようですね、本当に」
真奈美「……」
瞳子「最初だけ順調でした。1年も経たないうちにデビューが出来て、CDも出して……」
のあ「ごめんなさい、部屋に置いてあったのを見たわ。本名ではなかったけれど」
瞳子「本名でないのは、今思えば……きっとこうなるとわかっていたのかもしれませんね」
真奈美「……」
瞳子「こうして静かに暮らせているのは、そのおかげ」
のあ「ゴシップ誌の記者は気づいたけれど」
瞳子「売れないアイドルを追いかけていたのね、昔から」
真奈美「……」
のあ「あなたの過去がわかれば、全ての話が通る」
真奈美「新しい事務所を張っていたら、隣に元芸能関係者が引っ越してきた」
のあ「何か関係があると思っても、おかしくはない」
瞳子「ストーカーではなかったのね、記者さんが少し調べていただけ」
のあ「ええ。もう危険はないでしょう」
瞳子「安心したわ……また喫茶店の店員としての生活に戻れる」
のあ「……」
瞳子「探偵さん、ありがとうございました」
のあ「伝えておくわ。その記者があなたも調べていた理由だけれど」
真奈美「……」
のあ「静かに芸能界を去ったあなたを追っていた理由は、望んでいたからよ」
瞳子「望んでいた……」
のあ「あなたが、表舞台に戻ることを」
瞳子「そんなことは、ないと思います」
のあ「私にはわからない。人の心は難解で、私はあなたの歌を聞いたこともないのだから」
瞳子「……」
のあ「あなたの歌は経験によって磨かれていった」
真奈美「これからだと、思っていたそうだ」
のあ「だから、気づき、祈った」
真奈美「君が新天地の門戸を叩くことを」
のあ「挫折からの復活は人間に深みを与える、きっとシンデレラの夢物語に必要な材料になると」
瞳子「……」
のあ「私からは以上よ」
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