【安価】安価ファンタジー冒険者で地の文多めのマジメなやつ
1- 20
35: ◆a0UdM47R7d2e[saga]
2019/09/05(木) 01:55:03.29 ID:JsU2vhmx0

―――――
―――



その冒険者らしい男は、誰がどう見ても手遅れだった。

町外れの修道院からさらに外郭、森の中に踏み入ってそこで何かに襲われたに違いない。
そう断言できるのは「道」が出来ているためだ。


生い茂った緑の草の中でもハッキリと分かるほどに、真っ赤な鮮血の道が伸びている。


ここまで逃げてこられた事さえ奇跡と呼べる重傷だった。
人体としての正しい形は欠け、意識は朦朧としてうわ言を繰り返すばかり。
彼に対して出来る事があるはずもなく、急ぎ連れ出した修道女たちも立ち尽くすほかにない。


「大丈夫、大丈夫です!
 きっと助けます!」


叫び、深すぎる傷に布を巻くミアの声も虚しく空回る。
止血のためだろうその行動が何の意味もなしていない事に気付き、院長はそっと目を伏せた。

血は既に止まっていた。
もはや流れ出るものが無いためにだ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
154Res/76.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice