19: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/08/21(水) 01:27:36.61 ID:zqrS27Hw0
「さて、山城さん、落ち着いて聞いてください。あなたは任務の最中に敵性攻撃群、通称『深海棲艦』に襲われました。その後、我々が捜索し、発見、いまに至ります。ここは浜松泊地所有の医療施設で、幸いなことに命に別状はありません」
私は手を握り、開いた。痛みはしつこく残っている。それでも最早泣き出したくなるほどではなかった。
「山城さんは四日ものあいだ意識を失っていました。医者の見立てでは、日常生活を送れるようになるまでに二週間、完治まで二か月とのことです。後遺症の具合によってはさらに伸びる可能性もあります。
なにより、この数字は高速修復剤を利用した上での日数です」
高度修復剤、通称「バケツ」。浸せば体の損傷をたちどころに回復させてしまう、祈祷によって清められた霊水。
普通、どんなに酷い状態だったとしても、一日もあれば全快になるはずだ。それが二週間とは、まさに私は生死の境目を彷徨っていたのだろう。不幸中の幸い、ここに極まれり、である。
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