142: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/23(水) 02:18:06.78 ID:0ARiWsal0
「戦争の最中にも一過性の平和はあります。台風の眼のような」
大淀は手牌をかちゃかちゃと弄びながら、薄く笑う。
「戦いなどないほうがいいのは当たり前ですが、戦いなどないのが当たり前という認識は、極めて深刻な誤謬を我々に齎します。備えた上での平和なのです。平和の上に胡坐をかいて、備えないなどもってのほか」
「おう、淀の字、急にどうした」
「いえ、山城さんが随分悩んでいるみたいだったので」
「我々艦娘は、随分れっきとした備えだからな」
「えぇそうです、グラーフさん。我々自身が戦いから眼を背けるのは敵前逃亡に他なりません。致命的な……名誉を傷つける敗北です。負け犬と呼ばれてもおかしくはない」
「私は負け犬にはならないわ」
赤五を切る。僅かに三人の顔色が変わる。
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