5: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/08/11(日) 20:21:38.79 ID:hJ05PNkl0
なんて事をやってるうちに角を曲がる。
俺達の家がそこに見える。
新築のお洒落な戸建てが並ぶ中、
そこだけ時代に取り残されているかのようなアパートはある種の趣があって雰囲気が良い。
これぞ現代の同棲時代である。
俺は全く世代に掠っちゃいないからホントの所は良く知らんが。
しかし「ただいまっ!」と玄関を開ける事は出来る。
そりゃもう勢いよく開ける事が出来る。
日頃の酷使で底のすり減った革靴をその場で脱ぎ捨てて、
俺は外遊びから戻った夏の少年よろしくドタドタ音を立てて走り、
「琴葉、俺だ、帰って来たよ!」
もう正直辛抱堪らなかった。
何てったってエプロン姿の愛妻が台所で俺を待っているのは間違いないのだから。
料理中の彼女に後ろから抱き着いて、そのまま押し倒してしまいそうな俺が、
けれども台所に一歩入った所でその体を小さく強張らせたのにはワケがあった。
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