274:名無しNIPPER[sage]
2019/08/27(火) 14:55:58.87 ID:qXuBnPadO
そうだ…俺にはあるじゃないか、足止めする物が。俺はリュックから『聖光』を取り出す。俺はそれを羽織り、リュックを脇に投げ捨てる。
「ふぅー…」
呼吸を整える。相手をビビらすなら登場は派手に、だ。
準備が整い、俺は1番近くの座り込んで弓を直している兵士の背に目掛けて全速力で走る。
「悪ぃ!ちょっと痛いかも!」
「え──うわっ!?」
有無を言わさず、右足を兵士の背中に乗せて、筋力強化した足で高く跳躍する。力加減も完璧、ど真ん中だ。
「どけえええええええっ!!!」
人生で出したことの無いくらい声を張り上げ、怒号の如く叫ぶ。金属のぶつかり合う音や幾人にもよる喧騒に勝ったのか、打ち合っている奴らは俺の声に驚いた顔をして蜘蛛の子散らす様に離れていく。
パフォーマンスとして着地時に強化した右足で地を踏むと、周囲に地割れが起きた。
「お、おい!聞いてねぇぞ!メリルに2人もヴァーダが居るなんてよ!!」
ヴァーダじゃないけど、勘違いしてくれるのは好都合だ。俺はノースの軍勢にゆっくりと近付いて、足元に剣を刺す。
「これは境界線だ。この線を越えてみろ、俺が相手してやる」
決まったわ〜。俺は脅しを効かせ、短剣を抜いて構える。効果は覿面、ノース側の冒険者達は誰一人として前には出てこない。
むしろ何人かは後ろに下がって逃げている奴もいる、でもそれは仕方ない事だ。
ヴァーダ相手に冒険者が敵うはずもない、挑んだところでみすみす命を差し出すだけだからな。まさかこんな所で聖光が役に立つとは思わなかったけど。
「もしかして貴方は……数日前メリルの町に現れた方では…?」
「間違いない!俺はあの服を町中で見たぞ!」
後ろの方でメリルの兵士達が騒めき始める。たしかにあの時は堂々と着て歩いていたからな、見られていてもおかしくはない。
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