247:名無しNIPPER[sage]
2019/08/24(土) 13:19:46.43 ID:HOWRhC4x0
「アザミね。俺は──」
「男でしょ、知ってるわよ」
「あれ?行ったっけ?」
「忘れたの?あんたの身の上話聞いた時に言ってたわよ」
「あ、そうだったか。まぁ改めてよろしくな、アザミ」
「何をよろしくするってのよ」
「そう言われるとな…ほら、またどっかで会うかもしれないだろ?そん時にまたこうやって近況話したり……とか」
「近況ね……ふん。まぁ…それは別に良いけど…」
アザミはそっぽを向いて、今度はベットに潜った。俺はその様子を見て、椅子から立ち上がり挨拶をして部屋から出る。アザミとまた会えるとは思っていなかったが、旅をする以上またどこかで会えそうな気がするな。
俺は自分の部屋に入り、用意された寝巻きに着替える。ベットに飛び込み、これまでに知り合った人達や出来事を思い浮かべる。
ふり返ればふり返る程、異世界転生の主人公らしくはないなと笑ってしまう。
実は賢者に育てられた孫とか、魔王の生まれ変わりとか、何度か転生してたり……そういう設定が秘められたりしてれば良かったんだけどな。
贅沢を言っても仕方ないと分かっていても、もう自分にはそういう事に縁がないとしても、少しは期待してしまう。きっとレヴァンテインを手に入れたせいで、その欲は更に強まっているんだろうな。
「はぁ……寝よ寝よ」
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