122:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 15:51:21.62 ID:kgfHVtwqO
暫くすると砂埃は消え、視界が鮮明になってくる。勝ったんだな、俺は。改めて、この力と魔眼の凄さに気付かされた。
まだ謎が多いが、もっと使いこなせれば更に強くなれる気がする。
髭面は倒したし、とりあえずジャスミンの様子を見なきゃ。
俺はジャスミンの元へと向かおうとした時────。
「待てよ……兄ちゃん」
「!?」
吃驚した。殺してないとはいえ、意識があるとは思わなかった。俺は再び鞘を抜き、倒れたままの髭面に向かって構える。
「そう構えんな……もう戦う気力もねぇ。俺の負けだ」
「……」
油断するつもりは無いが、たしかに先程までの雰囲気とは違う気がする。俺も鞘を戻し、気になっていた事を聞こうと思った。
「たしか……ダンテだっけ?お前、ただの野盗じゃないだろ」
「なんだ……俺はただの野盗だぜ。そんな事聞いてどうすんだよ…?」
「少し気になったんだ、強いから」
ファンタジーの盗賊や山賊…色々あれど、手強いというイメージが無かったからか、髭面の強さに疑問を持っていた。この力が無ければ間違いなく負けていたしな。
「…そうかい。で、俺を殺さないのか?」
「え?」
何言ってんだこいつ、殺す訳ないだろう。
「おいおい……わかるだろ。俺は野盗だぜ?このまま生かしといて良いのかよ?」
「あぁ…」
そうか、こいつ等を生かしたらまた別の人が被害に遭う。でも、こいつらには兄貴ってのが居るはずだ。こいつを殺しても野盗を根絶出来るわけじゃない。それに俺は人を殺したい訳じゃない、感覚はおかしくなっているが理性はある。
とあるゲームの主人公は人を初めて殺した時にかなり取り乱していたが、それは人を殺したという業を背負う覚悟がないからだ。画面越しの俺はゲームだからと理解しているから、こいつ取り乱しすぎだろとか思っていた。今なら少しは気持ちがわかる。
殺らなければ殺られる、正当防衛、言い方はあれど結局は人殺しだ。背負わなくて良いなら俺だって業を背負いたくはない。ただ、野放しにする事によって被害者が増えるのも好ましくはない。ジャスミンの容態も気になるし、何とかしたいが。
行動安価
安価下
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