鷺沢文香「本に、命を」
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15: ◆jEbRvHU8C2[sage saga]
2019/07/14(日) 15:57:56.98 ID:UfnhAP/w0
私の困惑に気付いたのか、言葉を選び選びで優しく続けます。
栞を挟んでしまうと、挟んだページに開き癖がついてしまうから、可能であれば使いたくない。
厚く大きな本には栞紐がついているものもありますが、それも同じだと語ります。
では途中で本から眼を離すときはというと、ページの数字を覚えるのだそうで、
そういえば事務所で読書する姿をよく見るプロデューサーさんですが、
栞を使っているところも、付箋の類も見たことがないと気付きました。

そこから連鎖して想い出される光景。
以前に事務所で誰かがページを開いたまま逆さにして置いている雑誌を見つけたとき、
彼は無言で持ち上げて本棚へと戻していましたが、あのときに感じたぴりりとした空気は、
本を片付けなかったことにではなく開き癖がついてしまうことへの憤りだったのでしょうか。

折れ目も開きグセも無く、本はキレイに保ちたいんだ、とプロデューサーさんは苦笑いして、
それを締めにするようにそれきり沈黙が場を包みました。
だって、そうでしょう。こんな状態で、何を話せば良いというのでしょうか。


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