「ポケモンを診るということ」
1- 20
11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/05(月) 00:17:44.88 ID:HvUgvLPI0

ぱたん。
宿直室のドアを閉めると、しんとした夜の静けさが再び訪れた。

夜に音がないのはどこも同じだ。
外ではむしタイプのポケモンだろうか、リンリンとかカラカラ、コロコロと不思議な鳴き声がかすかに聴こえた。

ソファーに座り、読みかけだった資料を手に取る。
ふああ、と間抜けなあくびが出てしまったが、やっぱり眠れそうにはなかった。

「『進化キャンセルの弊害』『わざマシンの被ばく量タイプ別』『妊娠しているポケモンへのインドメタシンの使用』……」

今持っている一冊は、毎月購読している医学雑誌だ。
僕の知りたい病気については、今回も何も書かれていない。

なんとなく文字の羅列を目で追ってみたが、当直疲れの頭には何一つ入ってこなかった。
無機質な活字が眠気を誘う。

小さな文字がくにゃくにゃしたドジョッチみたいに見えだしたころ、僕の携帯がピピピと音を立てた。

「もしもし」

《先生、また急患ですよ。5分後です》

「はいはい、すぐに行きます」

ピッ、と通話を終了して、雑誌をゴミ箱へ。
白衣の襟を正して、僕はまた1階へ向かった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
13Res/10.64 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice