4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/08(月) 00:40:45.16 ID:RMDHO/4E0
「えーっと…… 怒ってない?」
「昔の私ってそんなに響に怒ってたかしら?」
昔、昔か……
思い出す、奏との昔のこと。 あたしが奏を一番怒らせて、傷付けて、悲しませていた頃のこと。
ほんの少しのすれ違いから奏との気持ちが離れちゃって、あたしはそれが耐えられなくて、奏との距離を縮めようと、振り向いてもらおうともがいていた頃。
奏にあたしのことを忘れて欲しくなくて、でもちゃんと奏と向き合う勇気なんてなかったから、あたしに出来たのは奏を怒らせることだけだった。
怒らせて、あたしを見てもらって、北条響という存在を奏の心のどこかに存在させたかった。 自分ながら子どもっぽいと思う。
でもあの頃のあたしにはそうすることしか出来なくて、そうやって奏にしがみついていたからこそ、今こうして奏と一緒に居られるんだと思う。
「そう考えると、あの時もきっと今のあたし達に必要な時間だったんじゃないかなって」
今にもふたりの体が溶け合いそうなほどの近い距離だからこそ、あたしは自分の思ったことを素直に話した。
うん、きっとあたし達のやってきたことに意味のないことなんてない。
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