7: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2019/07/02(火) 12:59:05.02 ID:n/YsVfkFO
医者「まず率直に申し上げてしまいますと、娘様の病状はかなり深刻です。加えてこの病、一度罹ると現在の医学では完治が難しいと言われている奇病です。罹患率は極めて低く、今のこの王国でも二人といないかと。」
ザワッ
医者「しかし、最も信じがたいのは──ここまで病が進行しているのに、どなたにも気付かれなかった点です」
伯爵「なんだと?」
医者「この病は、進行するに伴い、激痛に見舞われるのです。それも一度だけではありません。定期的に、です」
伯爵「バカな……そんな素振りなど……誰ぞ、娘の様子がおかしいのに気付いた者はおらんのか!?」
「「「………」」」
伯爵「……先生、それは真実なのですか?」
医者「伯爵様、お疑いになる気持ちも分かります。ですが、一人だけ、間違いなく変化に気付いていたはずの方がおられます」
医者「……そうですよね、娘様」
少女「………」
伯爵「少女……まさかお前……」
少女「……強く生きろ」
少女「そう言ったのは、お父様でしたよね」
伯爵「っ!」
夫人「だ、だからって、今までずっと痛みに耐えてきたというの…?」
少女「………」
少女「先生、もう前置きはいいの。私はこれからどうなるのか、教えてちょうだい」
医者「………」
医者「……先ほど申し上げた通り、娘様の病状は深刻です。正直、私でもなす術がございません」
夫人「そんな……」
伯爵「国一番と言われる、あなたの腕をもってしても、ですか」
医者「はい……そして、ここからはどうか、心を落ち着けてお聞きください」
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