少女「あなた、死神?」男「あぁ」
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68: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2019/07/09(火) 02:52:10.42 ID:GTq2Jn9X0


少女「……とにかく、私が夢見る女の子でいられたのは、その時くらいまでだった」

少女「今のお屋敷に住むようになってから、私の行動は否応なく制限されていったわ」

少女「やれ教養を身につけるための習い事だの、やれ伯爵家の娘としての振る舞いを意識しなさいだの……堅苦しい催事にもたくさん行った」

少女「どれも私にとっては煩わしい鎖にしか感じられなくて、次第にお父様、お母様に反発する数も増えていった」

少女「気付いたらお父様たちと顔を合わせるだけで衝突するようになっていて、今の私とまともに口をきけるのはあの人……教育係だけになっちゃってた」

少女「そうしたら……フッ…この有様」

少女「伯爵家のわがまま娘」

少女「それが他者評価。……まぁ、自覚はあるわ」

男「何の変哲もない、村の娘に生まれたかったのか?」

少女「いいえ、ちょっと違う」

少女「……多分、広い世界に憧れてただけ」

男「広い世界……」

男「……」

男「……そうでもない。意外とこの世界には、同じようなものしか存在しないさ」

少女「もう……すぐそうやって夢のないことを言う」

男「死神に睡眠は必要ないからな」

少女「…?」

男「…夢を見ないということだ」

少女「なにそれ、分かりにくい冗談」クスッ





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