少女「あなた、死神?」男「あぁ」
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29: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2019/07/04(木) 20:23:24.72 ID:xJn3KPymO


伯爵「……昨夜、考えておったのだ」

伯爵「娘と口をきいたのが、いつ振りだったのか」

伯爵「……私は驚愕したよ──思い出せないんだ。どんなことを話したのかさえ、な」

伯爵「無論、娘のことは愛している。叶えられる限りの望みは叶えてきた。欲しいと言ったものは買い与え、町を一望できる景色に喜んでいたからこの場所に屋敷を建てた」

伯爵「それが6つの時の誕生日でな、あの時のあの子の驚く顔といったら…今もはっきりと思い浮かぶのだよ」

伯爵「……だがいつからか、娘と顔を合わせる機会が減っていった。あの子にも自立心が芽生えてきたのだと思ったよ。いい兆候だと」

伯爵「段々と私の前で笑顔を見せなくなっていくのは寂しかったが、いつかまた昔のように明朗な娘が戻ってきてくれると思っていた……昨日までは」

医者「伯爵様……」

伯爵「……私を笑っておくれ」

伯爵「民の望むほぼ全てを手に入れてきた」

伯爵「私が是と言えば、大抵の非はひっくり返る」

伯爵「しかしどうだ。その実、自らの娘のことをすら何も分かってやれていない……はは、哀れな道化だ」





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