33:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/01(月) 22:33:29.01 ID:LeKpDSJgO
梨子(あれは、私が内浦の家に着いて、私の大事なピアノが届いた日だった)
梨子(……ピアノが弾けない。でも、ピアノはここに来て、ここにあって。……でも、それを引くための心が、私が、ここにいなくて)
梨子(言い表しようのない気持ちが広がって……でもどうにかすることもなくて。ただ、家の前に広がる海を、見に行って……)
梨子「海はキラキラしてるのに。キラキラしてるはずなのに。視界には、太陽の光を反射した煌めきが、いくつも目に入ってるはずなのに」
梨子(私の視界は、ぼやけていて。その煌めきのどれも。その粒たちの、どれも。ちゃんと、見ていなかった)
梨子(……そうして、ただぼーっとしていた時。ふと、近くに女の人が立っていることに気づいた)
梨子(なんで気づけたのかは、上手く言葉にできない。でも、何となく……ヘンな雰囲気を感じたからだと思う)
梨子(とにかく、私は女の人の方に視線を向けてみた)
梨子(雰囲気は、私よりも年上の感じで。大人の佇まいだったけど。でも、なんだか親しみがあるような……)
梨子(不思議な感じのする人だった)
梨子(でも、全体から感じる雰囲気は、ただそれだけだった。……ヘンな雰囲気がする感じでは、なかった)
梨子(だから、その人の表情を見た。何でヘンな感じがしたのか、確かめるために)
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