61: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:04:12.46 ID:tLeGcQVf0
「あんなこと言われちゃったら、今まで聞きまわってた私がバカみたいだよね……」
「私ね、あの子が死んだことばっかり気にしてた。あの子とはそれまでたくさん楽しくおしゃべりとかした。でもそんなことは忘れちゃって……。あの子が死んだ。あの子が戻ってこなかった。でも私が生き残った。そんな結論ばかり気にばっかりで」
62: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:05:20.71 ID:tLeGcQVf0
「……いわゆるサバイバーズ・ギルトってやつだな」
そんな風にプロデューサーさんがポツリと呟いたその言葉、どっかで聞き覚えがある……。
確か、昔入院していた病院へ久々に行った時に、奏が口にしてた気がする。
63: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:06:13.30 ID:tLeGcQVf0
「ねぇプロデューサーさん? 私は生きてていいのかな?」
64: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:06:54.59 ID:tLeGcQVf0
「あの子の代わりでもなく、私が私として人生を謳歌してもいいのかな?」
65: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:07:39.43 ID:tLeGcQVf0
「私、昔からの夢だったアイドルを楽しんじゃってもいいのかな?」
66: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:08:42.62 ID:tLeGcQVf0
そんな弱音を吐く私。後ろからため息をつく音が聞こえる。でも音は軽蔑や落胆のそれではなくて───
67: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:09:40.02 ID:tLeGcQVf0
「馬鹿野郎。良いに決まってんだろ? 俺が育てたアイドルだぞ? こんなところで折れるようなヤワな育て方してねーよ」
68: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:10:13.37 ID:tLeGcQVf0
「それにあれだ……。お前もだいぶ有名なアイドルになったと思ってるけどよ───」
「───天国まで轟かすにはちーっとばかし、まだ足りねぇと思うんだよ。だから待ってろ、今にもっと輝かせてやるからよ」
69: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:10:52.70 ID:tLeGcQVf0
◆◇◆
色々聞きまわったちょっとした騒動だったけど、結局何かが解決したわけじゃなかった。
70: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:11:31.62 ID:tLeGcQVf0
そう、こんだけ聞きまわったっていうのに、結局私の考えは全く変わらずにいる。
つまりは相変わらず私はカミサマの存在なんてちっとも信じちゃいないってこと。
カミサマは私をこんなに元気にしてくれたのに、あの子を救ってくれなかったし。
79Res/49.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20