60: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 22:03:33.30 ID:tLeGcQVf0
◆◇◆
いやー、思いだすだけでも結構ダメージあるね。確かに私はあの子が亡くなったことばかり気にしてた。
そのせいで、あの子が生きてたって感覚を完全に失っていた。
ふらふらと軟着陸したベンチだけどここにあって本当によかった。暫くはダメージで動けそうにない……。
どれくらい時間がたっただろうか?
私の座っているベンチにふと影が差す。誰かが私の後ろに来たようだ。
だがノックアウトされっぱなしの私に振り返る気力などあるはずもなく、そのまま項垂れていた。
「どうだった?」
それは見知った男の声。いま一番聞きたくなかった声。そして、いま一番聞きたかった声だった。
「完敗……。見事にノックアウトされちゃった……」
振り向きもせずそう答えると、そうかそうか、とプロデューサーさんは頭を撫でながら宥めてくれる。
それが途轍もなく安心できて。だからこそ私は言うつもりもなかった心の声をドンドン漏らしてしまう。
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