22: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/06/18(火) 21:34:15.80 ID:tLeGcQVf0
私はそう毅然と宣言する。運命の出会いを信奉する彼女に向かって、運命なんて嫌だと言い放つ。
「そう……ですか……。まあ、見解の違いですかね。それとも──」
そんな否定されるようなことを言われて怒るかと思ったのに、まゆはニコリと笑っている。なんでそんなに余裕があるのか。
「なに? そんなニヤニヤした顔して」
「──うん。いえ、加蓮ちゃんはまだ気が付いてないだけかもしれませんね。自分の、心の中に秘めたる思いに」
「あぁん? 何か言いたいことでもあるっていうの? ハッキリ言いなよ?!」
まゆの含んだような言い方につい苛立ちを覚えてしまう。まるで時子さんみたいな声を出してしまった……。
「大丈夫です。加蓮ちゃんもきっといつか気が付きますよ。自分の思いに。そして運命の"出会い"に」
「何を言ってるかさっぱりなんだけど……」
「そうでしょうね、今はまだ……。あら? もうこんな時間? プロデューサーさんのところに行かなくちゃ。ごめんなさいね、加蓮ちゃん」
そう言ってまゆは楽しそうに去っていった。
自分の持ち歌を口ずさむみながらそれはもう幸せそうに。
『大好きだよ、ささやいてよ』か……。
私も"運命"ってやつを信じたら、まゆみたいに可愛く恋する乙女になれるのかな……?
…………ごめん、今の無し。自分で想像して鳥肌が立っちゃった。
やっぱカミサマなんて信じず、己の力で進んでいくのが一番だよね。
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