【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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8: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/14(金) 00:47:12.16 ID:DTY4fa360

  ◆◆◆◆


 下っ端が何をどう思おうが、企画はトントン拍子で進行していく。
 とうとうオフィスビルに専用のフロアができ、人事異動もどんどん進む。


「――でも、どれくらいの規模でやるつもりなんだろう。想像つかないなぁ」
「そりゃ相当リキ入ってんだろうよ。ほらあの、アメリカ帰りの専務。あのヒトの肝煎りって話だぜ?」

 金曜夜。
 会社近くの居酒屋で、ああでもないこうでもないと雑談を交わす同僚二人。
 彼らとはたまにこうして酒を酌み交わす仲だ。近ごろは忙しくて頻繁には会えないのだが。

「んでお前はどうなんだよ、ヨネ。自分とこの部署持ちたいって言ってたじゃねーか」
「あ〜……企画が通ればいいんだけどさ。オレまだペーペーだからどうだろうなぁ」
「……ヨネさん、プロデューサーになりたいんですか?」

 二人組の背の低い方が「うん」と快活に頷いた。
 一見すると中学生のような(失礼)小柄さだが、彼も立派な社会人。
 先輩である俳優部門のプロデューサーに付き、あれこれ経験を重ねている彼は、新規部門にも積極的な若手のホープだ。




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