【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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279: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/09/03(火) 01:37:39.42 ID:/BT2JQWN0

 地上では、人々を魅了するカリスマを発揮して。空とか飛んで、いつも泰然としていて。
 そうかと思えば妙ちくりんなジョークで笑って、酒をぐいぐい飲んで、好き勝手にこっちを振り回して。
 怖いものなんて何もありませんって顔をして……それでも。

 一人でいる時は、ずっとそうしていたのか?

 細い体を小さく折り畳み、ぎゅっと両膝を抱えて。
 すぐ背後に迫る孤独から身を隠すように。
 誰にも見つからず、気付かれもせず、人々の歓声を遠く聴きながら。


 歩み寄って、傘を差し出した。
 もともと相手の傘だ。
 綺麗な髪に雪を積もらせていた彼女は、夢から覚めたような顔をして、こてんと顔を上げる。


 目が合う。

 何か言われる前に、こちらが口を開く。

 きっとこれから何度も繰り返す言葉の、それが最初の一声だった。




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