78: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/10/17(木) 11:30:52.86 ID:eH8hmcZZo
舞台袖へ戻ってきたときには、汗は滝みたいに顔を流れていて、これ以上動けないほど息が上がってしまっていた。
それでも、マイクを胸に抱き寄せたまま、離すことができなかった。
まぶたの裏に焼き付いて消えないあの景色は、私の知らなかった、心の奥底にあった夢に触れてしまったのだ。
ペンライトの光の一つ一つに、あなたはあなたのままでいいんだよ、と励まされたような気がした。
気がつけばまぶたの裏の光はこれほどかというほどに滲んでいて、もう顔だってぐしゃぐしゃになってしまっていただろう。
こんな気持ちで流す涙なんて、初めてだった。
メイクはすっかり崩れて落ちてしまって、それでも溜まっていたものが全て流れていくまで、涙が止まらなかった。
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