21: ◆Kg/mN/l4wC1M
2019/07/07(日) 23:09:06.00 ID:2s7Ltdwho
『もう行かなくちゃ。……本当の姿を知られてしまったら、私はもう此処には居られないの……。』
『ずっと言えなくて、ごめんなさい。……今まで、ありがとう。』
外へと続く引き戸を開けた娘が、青年に背を向けたまま言葉を紡ぐ場面。
降りしきる雪と鋭く差す冷たい風に冷えてしまわぬようにと、身体の前で腕を抱えたまま、娘は雪の上へと歩いていく──。
普段なら十分上出来だと自分に言えそうなのに、今はまだどこか大事なものが抜けているような気がしてならなかった。
幾度も試してみるものの、結局自身が満足する結果には辿り着けなかった。
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