【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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165: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/04/10(金) 01:12:08.44 ID:VqwG9xH+0

このみは、彼が自身の声をいつだって受け止めてくれることを知っていた。
殆ど呟くような声だったが、それは未だに不安も迷いも抱えたままであることを物語っていた。
そしてこのみは一呼吸ほどの間の後、彼に尋ねた。

「そうなったら、当分の間アイドルはお休み……ってことよね。」

その問いの答えは、このみ自身も分かっていることだった。
しかし、このみにとってそれが何より大切なことであると、彼は知っていた。
だからこそ、彼はその言葉を伝えることを少しだけ躊躇った。

生まれた静寂の中で、二人は夜の空気の冷たさを感じた。
彼はその冷たさから逃れるように、右手を握りしめた。
それでも伝えなければならない、と。
彼はそっと口を開いた。

「……ええ、そうするつもりです。」



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