161: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/04/10(金) 00:43:30.84 ID:VqwG9xH+0
彼はこのみの向かいに腰掛けてから、グラスの中身を一口含んだ。
少しだけ間を開けて、表情を引き締めてから、このみに尋ねた。
「それで……なにか収穫はありましたか?」
このみの答えはもう決まっていたが、自分の中でそれらを今一度反芻していた。
改めて考えると、少し気恥ずかしさを感じるが、これが『あの子』と『私』なんだ、と今では胸を張って言える気がした。
「ええ、おかげさまで。ちょっと難しかったけど……。これでやっと、満足のいくものができそう、って感じかしら。」
「……それなら、よかったです。」
彼は胸を撫で下ろしたようで、その表情はまた穏やかなものに戻った。
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