180:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:55:34.37 ID:YWfCY9A20
「あ! 前のバンド、終わったみたいだよ!」
香澄の明るい声が響く。それに釣られてステージへ目をやれば、観客席に頭を下げてから舞台袖に向かってくる四人組のガールズバンドの姿が見えた。
「お疲れ様! イェーイ!」
「イェーイ! 君たちも頑張ってね!」
そのボーカルの人と、笑顔でハイタッチする香澄。それから手を振りあって、彼女たちは楽屋の方へと引き上げていった。
「最近のかすみんって、ライブ前になるとさらに別人になるわよね」
「え、なにが?」
「無自覚っすか……すごいっす、かすみんセンパイ」
「……ふふ、カスミちゃんっぽい」
「獅子メタル殿? なにか言ったか?」
「ううん、なんでもないよ」
自分からハイタッチをしにいく香澄の姿が、自分が一時期お世話になった世界の香澄と重なる。やっぱり似た者同士なんだな、と思うと、沙綾はちょっとおかしくって笑ってしまう。
「沙綾センパイも余裕そうっす……」
「これが場数の違いなのかしらね」
「なんの、うちだって全然、こんなの緊張のうちには入らへんし。はー、なんだかお腹減ったわー、朝ご飯白米しか食べてないから辛いわー」
「なにアピールよそれ」
きゃいきゃいと、段々といつものような言葉を交わすようになる三人。どうやらいい具合にテンションが上がってきているようだった。
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