4:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:05:20.02 ID:ERzHuNUU0
だから、味が分からない。
妄想だけど、あま〜いチョコの味をしているといいな。だけど、それを味わう勇気はまだ生まれてこない。
久しぶりに恋の感情を味わってみたいな、と思ったのは感じたのはアイドルになってから、かな。
5:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:05:48.14 ID:ERzHuNUU0
◆◆◆
「智代子」
厳しいダンスレッスンの休憩中、私の呼ぶ声が聞こえた。
6:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:06:35.14 ID:ERzHuNUU0
「プロデューサーさん」
「最近レッスンの様子見に行けなくてごめんな。仕事も1人で行かせちゃってるし」
プロデューサーさんは私に向かって近づいてくる。
7:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:07:01.84 ID:ERzHuNUU0
「ぷ、プロデューサーさん! ちょっと待ってください汗を拭くので!」
少し慌てて私は彼が接近するのを止める。そして自分のカバンの中からチョコ色のタオルを取り出して汗を拭く。
「ん? ああ、別に気にしないのに」
8:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:07:51.49 ID:ERzHuNUU0
放クラの仲間に汗まみれの姿を見られてもそんなに気にしないというか、恥ずかしくも何ともないのに、なぜプロデューサーさんだけは見られたくないと意識しちゃうんだろう。
不思議でたまらない。
ちょっと口の中が甘くなった。まるでチョコの匂いを嗅いで、その甘い匂いが口の中で広がっていくような、不思議な甘さ。
9:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:08:19.48 ID:ERzHuNUU0
「ああ、そうだ。汗を拭きながらでもいいから聞いてくれるか? 智代子に仕事の話が入ってるんだ」
「え! 私にですか?」
「そう。でも少し悩んでるんだよ。そこで少し智代子と相談できたらな、と思って来たんだ。レッスン後で疲れてると思うけど時間取れるか?」
10:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:08:52.72 ID:ERzHuNUU0
でも、今まではお仕事に関して相談したい、だなんてなかったのに、急にどうしたんだろう。私はお仕事を選別する立場じゃないからどんなお仕事でも受けたい、とは思っているけどなぁ。
「えっと……相談しなきゃならないほどのお仕事って何でしょうか?」
「さっき企画の打ち合わせしてたんだよ。でも智代子が少し嫌がるかなって思ったからさ」
11:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:09:34.21 ID:ERzHuNUU0
「企画内容としては『アイドルが恋を語る』というアイドル雑誌のコラムがあるんだ。それを智代子に書いてくれないか、というのが出版社から来たんだよ」
「雑誌のコラムを私が書くんですか?」
「うん、そうなんだけどな。アイドルが恋を語るっていうのもなぁ……と思ってね。あとさ」
12:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:10:06.68 ID:ERzHuNUU0
私は普通という自覚はある。けど、それをお仕事関係の人たちに言われるのは……やっぱり深く刺さっちゃうなぁ。
「んで、どうする? 受けなくてもいい。君の判断に任せたい」
どうしようかな。でもプロデューサーさんがせっかく見つけてくれたお仕事だから……。
13:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:10:44.85 ID:ERzHuNUU0
「一応さ、聞いてみていい?」
「はい! 私は確かに普通だと思ってます。けど私のことを認知してくれて、親近感を覚えてくれて。それの期待に応えたいなって思ったんです」
私がこの企画を聞いて思ったことをスラスラと述べると、納得したようにプロデューサーさんは頷いた。
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