【ﾓﾊﾞﾏｽ】黄昏に咲く花-SS速報VIP

【ﾓﾊﾞﾏｽ】黄昏に咲く花

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1: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:11:44.59 ID:+UxOTxhw0
・地の文
・モブの話

↓九分九厘関係ないけど同じ世界線の話
【ﾓﾊﾞﾏｽ】千夜の姫に宿る炎
ex14.vip2ch.com

よろしければお付き合いください

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2: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:13:18.55 ID:+UxOTxhw0

人生何があるか分からない、などという言葉は飽きるほど聞いてきた。
節目節目にこの身をもって経験してきたことでもある。
だがしかし、これは予想できなかった。

3: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:14:12.33 ID:+UxOTxhw0

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定年まであと何年、という所まで来てしまった。

4: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:14:58.22 ID:+UxOTxhw0

このままいけばどうなるのか。
別に、やるべきことがない訳ではない。

こんな私を支え続けてくれた妻に、恩返しもせねばなるまい。

5: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:16:09.55 ID:+UxOTxhw0

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耳に障る着信音で目覚める。

6: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:17:26.97 ID:+UxOTxhw0

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7: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:18:15.96 ID:+UxOTxhw0

全員を見送ってから外に出ると、昼下がりの太陽が迎えてくれた。
さて、これからどうしようか。
そもそも、今日も予定らしい予定はなかったのだ。
この呼び出しがなければ、家の中でゴロゴロして過ごしていたことだろう。

8: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:19:47.76 ID:+UxOTxhw0

どこをどう歩いたのか。
気が付けば、大きな公園に行きついていた。
確かここは、広域避難場所に指定されていたんだったか。
災害時の避難マニュアルで見た記憶がある。

9: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:20:37.78 ID:+UxOTxhw0

ちょうど木陰になっているベンチを見つけ、腰掛ける。
目の前に広がるのは、休日の午後に相応しい眺めだった。

キャッチボールをする親子。

10: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:21:19.27 ID:+UxOTxhw0

「ん？」

ふと、キラリと光る何かが目に入った。
気になって辺りを見回すと、すぐにその正体を見つけることができた。

11: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:22:06.88 ID:+UxOTxhw0

しかし、そんな了解は取るに足らないことだった。
少女を見て目が離せなかったのは、そんな些細な違いが原因ではない。

その表情。

12: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:22:35.99 ID:+UxOTxhw0

ほのぼのとしたものが胸に広がる。
おそらく、口元には笑みが浮かんでいることだろう。
何なら、この出会いのきっかけをくれた休日出勤に感謝してもいいかもしれない。
そう思えるくらいには、嬉しい出来事だった。

13: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:23:38.92 ID:+UxOTxhw0

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それは、どこにでもある日常の一コマに過ぎなかったのではないだろうか。

14: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:24:15.78 ID:+UxOTxhw0

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15: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:25:14.53 ID:+UxOTxhw0

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休日のそぞろ歩きも、ずいぶんと馴染んできた。

16: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:25:51.33 ID:+UxOTxhw0

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17: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:26:53.06 ID:+UxOTxhw0

大手チェーンの飲食店にいくつかの娯楽施設。
駅の向こう側だからと、特別変わった風景はない。
まあ、中規模の駅周辺ともなればこんなものだろうか。

18: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:28:04.90 ID:+UxOTxhw0

「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい」

威勢のいい声に振り返る。
快活な笑顔で迎えてくれたのは、鮮魚店の主人だった。

19: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:29:03.17 ID:+UxOTxhw0

「……いきなり買って帰ると、家内に怒られるんだがね」

予防線を張りつつ店先へ。
そもそも、私には魚の目利きなどできない。

20: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:29:48.18 ID:+UxOTxhw0

「お客さん、こっちはやります？」

お猪口を持つ仕草をし、それをクイッとあおってみせた。
こちらを見る目が、楽しそうに光っている。

21: ◆Hnf2jpSB.k[sage saga]
2019/05/21(火) 21:30:47.29 ID:+UxOTxhw0

「それじゃ、一つ貰おうか」

「はい、毎度っ」

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