3:名無しNIPPER[saga]
2019/05/04(土) 23:05:08.74 ID:lX2r1nsd0
◇ ◇ ◆
プロデュースを始めた当初、俺はアイドルとしての高垣楓について改めて考えた。
この界隈において方向性というものは極めて重要だ。
最初の舵取りを間違えれば、たちまち大海原で迷子になってしまう。
悩んだ末に出した結論は歌唱重視という面白みの無いもので、けれど間違ってはいなかったと思う。歌って踊れる正統派アイドルよりももう少し偏った、ストイックに入るかどうかのライン上。
そこを彼女に歩かせようとしていた。
「来月、櫻井さんを始め、何名かのアイドルがヨーロッパロケに出発する予定でして」
「ええ」
「我々も同行し、幾つかの国でスチール撮影を行います」
「なるほど……少し、急な話にも感じますが」
「タイミングと言いますか……ええと、強い需要に背を押されてと申しますか」
楓さんはライン上に一歩を踏み出し、二歩目で脇道を突き進み始めた。
お酒は飲む。駄洒落は飛ばす。年下を振り回す。
浮かび上がってきていた神秘の歌姫なる二つ名はゆっくりと沈み始め、
ゆかいなお姉さんなる称号が元気に浮上してきた始末だ。
「……ぶっちゃけて言えば、水着姿を早く見せろとの声が、ですね、その……多数。かなり」
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