相棒「目撃者・後日談 〜16年ぶりの再会〜」
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17:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 14:45:35.23 ID:i/o/WJrU0
―警視庁 廊下―


冠城「右京さん、ひょっとしてあの先生……」

右京「彼こそ、先程話していた16年前の殺人事件の犯人です」

冠城「まさか、過去に自分が殺した教師がいた学校の教師になっていたなんて、驚きですね」

右京「同感です」

冠城「でも…どうして彼は、殺人事件なんか起こしたんですか?」


先程聞けなかった手塚の犯行動機を聞かれ、右京は少し間を置いてから説明を始めた。


右京「既に知ってのとおり、16年前に栄第三小学校の男性教師がボウガンで殺害されました」

「被害者の名前は『平良荘八』。かつて、手塚先生の担任であった『前原恭子』さんの同僚でした」

「しかし被害者は、酒と女癖が悪い大変素行の悪い人間で、恭子さんにも手を出そうとしたのです」

冠城「それじゃあ、彼は自分の担任を守るために?」

右京「手塚先生は、その当時から大人顔負けの頭脳の持ち主で、それが災いして友人もいなければ自分を引き取った親戚とも不仲でした」

「彼にとって唯一心を許せる相手が、前原恭子さんだったんです」

冠城「だからこそ手塚先生は、恭子さんを襲おうとした平良荘八が許せなかった。だから、殺したと……」

右京「そんなところです」

冠城「子供に殺意を向けられるような事をしておいて、その平良って男はよく教師としてやっていけてましたね」

右京「どうやら、周りの大人は彼の仕返しを怖がって、見て見ぬふりをしていたようなんですよ」

「これは後から知った事ですが、当時の校長も平良荘八の仕返しと周囲から糾弾される事を恐れ、教師達に強く口止めしていたようです」

冠城「つまり、平良荘八を止める大人がいなかったから、手塚先生は自分の手で制裁を加えた訳ですか……」

右京「そして、自分に疑いの目が及ばないよう、学校の近所アパートに住んでいた『佐々木文宏』という男に自身の罪を擦り付けようとしました」

冠城「佐々木…そいつが、ボウガンの所持者ですか」

右京「佐々木は親のすねをかじっているばかりの男で、常日頃から通学中の小学生をボウガンで脅かしていました」

「それでいて、平良荘八にその事を注意されたことがあります」

「手塚先生がスケープゴートに彼を指定したのも、その一連の出来事があったからでした」

「彼曰く『クズを殺した犯人は、クズがなるのが一番だ』と……」

冠城「そして、手塚先生の罪をあなたが暴いた」

「暴いて……その後、どうしたんです?」

右京「僕の『かつての相棒』が『かつての親友』と彼を引き合わせました」

「そうする事で、手塚先生を犯罪の道から引き離したのです」


そう語る右京の脳裏に『初代相棒』の『亀山薫』と
今は亡き『平成の切り裂きジャック』にして『亀山の親友』だった『浅倉禄郎』の姿が思い浮かんだ。


右京「事件が終息した後、手塚先生は恭子さんに引き取られて東京を去りました」

「自身の犯した罪を、どう償えばいいのか。その答えを、彼女とともに探す為に……」

冠城「その出した答えが、自分が慕っていた人と同じ教師になり、同じ悲劇を繰り返さないようにすること…その為に、東京に帰ってきた」

「けれどその彼が、またしても殺人事件の容疑者になってしまった」

「いったい、何が起きたんだ?」

右京「まずは、鑑識課に行きましょう。吉田先生がボウガンで殺されたというのが気になります」


こうして特命係の2人は、ボウガンの事を確かめるため、
鑑識課にいる伊丹の同期の男、『益子桑栄』の下を尋ねた。


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