【たぬき】神谷奈緒「あたしの髪には何かが棲んでいる」
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33: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/04/16(火) 01:45:04.33 ID:fzUqSW1/0

 さすがに言うのは憚られた。
 この朴念仁のことだから「兄妹」とでも言うに決まってるし、万が一期待通りのことを言われたらそれこそどうしていいかわからない。
 それに、今さらそんな試すようなことを言うのもちょっとヘンな感じがするし、だいいち恥ずいし。
 そもそもこれ、いいのか? ファンの人にバレたりしないか? いつもと違う服だから気付かれないかな? あ〜なんか頭ん中ぐるぐるしてきた……。

「……ちべたっ」
「お?」

 頬にアイスがついちゃってた。ついつい考え込んだせいだ。

「なんだ奈緒、ボーッとしてたのか? ちょっと待ってろハンカチあるから」
「え!? い、いいよぉ、その辺のトイレで拭くから……!」
「早くしないと垂れちゃうだろ。ほら顔こっち向けな」
「いいって――んぅ、んーっ」

 結局されるがままだった。
 あたしの頬を手早く拭って、プロデューサーさんは気の抜けたような笑みを見せた。

「こうしてるとあれだなぁ。まるで……」
「えっ? ま、まるで……!?」
「大きな娘か、妹がいるみたいだなって」
「ああはいはい、うん知ってた、あたし知ってたよアンタはそういう奴だ」
「何が!?」

 予想通りというか、期待外れというか……。
 いきなり白けたあたしに彼は戸惑うばかりで、だからなんか、怒る気もなくなった。




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