【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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◆eltIyP8eDQ
[saga]
2019/05/13(月) 00:38:30.84 ID:bVfjB2rg0
「私が自分を許しちゃったら、私が、自分の罪を忘れちゃったら、きっとエリカさんの事も忘れちゃう」
先ほどまでの穏やかな空気は消え去り、みほはくしゃりと、自分の髪を荒々しく掴み、瞳孔の開ききった目で、微笑んだままで、怒りを表す。
「優しいあなた達と一緒にいたら、そんな未来を受け入れたら、きっと毎日が楽しくて。エリカさんを失った事が過去になっちゃう」
みほの瞳はどこでもない虚空を、かつてエリカといた過去を見つめ続ける。
「そうなったらもう、私は……私じゃなくなっちゃう」
微笑んだまま、瞳に怒りを宿したまま、今度は涙が流れだす。
ごちゃ混ぜになった感情は、けれどもみほにとっては当たり前の、変わりのない事実を核に纏まっていた。
「エリカさんからたくさんの事を教えてもらったのに、エリカさんが私を形作ってくれたのに、エリカさんに、私は救われたのに」
蘇るのはエリカとの日々。
自分の人生と等価な銀色の時間。
それはもう、永遠に過ぎ去った時間で、それをみほも理解していた。
「エリカさんはもう戻ってこない。私がやってたのはただただ自分を慰めるための馬鹿げた真似事だって、わかってた」
どうなるかなんてわかっていた。
姉を憎悪に狂わせ、母の心を擦り減らし、友達の優しさを裏切り、新しい友達を欺き、裏切る。
結論なんて、結末なんてわかりきっていたのに、それでもみほは選んだ。
「だけど、やっとわかった。私は……エリカさんじゃなくても生きてしまうんだって」
『生きて』
その呪いが、みほを生かし続けている。
その微笑みだけは、未だに色褪せずに残っている。
彼女の声も、姿も、美しさも、全部掠れているのに。
最期の瞬間だけは刻みつけられたかのように思い出せてしまう。
だからみほは今日まで生きてきた。
嘘を暴かれ、空っぽの中身を晒されても、それでも生きてきた。
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