6:名無しNIPPER[sage]
2019/03/06(水) 18:23:08.16 ID:rSVVCRzg0
客人「いえ、それはまだ。しかしこれを持って依頼を果たしていただいた暁には望み通りこの刀の委託と更なる報酬を約束しましょう。我々の目的はあくまで保護。大好木様の意思が安全な状態で保管されるのであれば都住まいで刀の収集癖があるあなたに預けておけば間違いはないでしょう」
紺之介「なんだがっかりさせてくれる。じゃあ何故今この場で出した。所有証明なら結構だ。さっさとしまってくれ……切りかかってでもあんたから愛栗子を奪おうとしてしまう」
依頼を達成した際の譲渡ではなく委託という言葉にも不満があった紺之介だが客人の機嫌を損ねまいとグッと腹に力を入れて堪えたのだった。
7:名無しNIPPER[sage]
2019/03/06(水) 18:24:58.51 ID:rSVVCRzg0
客人「我々は奴との交戦の後に悟りました……奴の目的は恐らく児子炉以外の全ての幼刀の破壊。しかしながら皮肉なことに幼刀をいなす事ができるのもまた幼刀のみ」
客人「そして恥ずべきことに我々はこの唯一保護に成功した愛栗子ですら真の力を解放するに至らなかった」
紺之介「真の力?」
8:名無しNIPPER[sage]
2019/03/06(水) 18:29:27.95 ID:rSVVCRzg0
紺之介(共通する志……?)
紺之介は疑念を抱いた。この客人同じく幼刀情報部隊とやらは元を辿れば幕府の犬の家系。ならば『共通する志』とやらは客人たちにもあるのではないかと。
更にそれが客人たちにないだけならまだしもなぜ幼刀児子炉の所持者が露離魂を持っていたのかと。
9:名無しNIPPER[sage]
2019/03/06(水) 18:29:59.59 ID:rSVVCRzg0
紺之介「あんた、少女を愛でる趣味はあるかい」
客人「……い、いえ。私には既に愛する女房と息子がおります故、今さら浮ついた心で女遊びをする気にはとても……」
手を横に振りながら苦笑いを浮かべる客人を見て紺之介は一人確信する。『露離魂』とは即ち……
10:名無しNIPPER[sage]
2019/03/06(水) 18:30:27.07 ID:rSVVCRzg0
紺之介はやにわに両手で腿を叩き座布団の上に立つと若干驚いて見える客人へとおもむろに距離を縮め愛栗子の柄を握り込んだ。
紺之介「残念ながら俺に少女を愛でる趣味はないが、俺はこの刀を好いている。 黙ってこの刀を俺に貸せ。さすれば必ずや児子炉の所有者を斬り伏せ、残りの幼刀も保護してやる」
紺之介は客人を見下ろしながら彼の持っていた愛栗子をそのまま抜刀した。瞬間、刀身が眩い光を放ち少女の影をうつしだすと客人の握る鞘を残して刀は全て少女の一部となった。
11:名無しNIPPER[saga]
2019/03/06(水) 18:31:02.75 ID:rSVVCRzg0
客人「なっ……」
愛栗子「ふぁぁ……んぅ〜〜? なんじゃおぬしは」
水色の着崩れた浴衣に巨大な蝶を作った白い帯、栗色の髪に黒の手ぬぐいを兎の耳のように結んだその少女は大あくびをしてもまだ尚その美を崩さない。
12:名無しNIPPER[saga]
2019/03/06(水) 18:33:23.70 ID:rSVVCRzg0
幼刀 愛栗子 -ありす-
13:名無しNIPPER[sage]
2019/03/06(水) 19:19:55.72 ID:lWRr9JM2O
控えめに言って将軍度しがたいヤベー奴だな
良いぞもっとやれ
14: ◆hs5MwVGbLE[saga]
2019/03/07(木) 05:03:43.28 ID:ThCWRdKl0
すみません>>5と>>6の間を抜かしていました
紺之介「これが大好木が生前もっとも愛したとされる少女が封印されし刀……愛栗子-ありす-……この美しき刀を俺に譲渡すると……!」
15: ◆hs5MwVGbLE[saga]
2019/03/07(木) 05:57:14.84 ID:ThCWRdKl0
つづき
16:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 05:57:45.44 ID:ThCWRdKl0
幼刀保護の旅に出た紺之介と愛栗子は伝説の幼刀七本が内の一つ幼刀乱怒攻流 -らんどせる-を求め、情報部隊の控え書きを元に都から十里ほど離れた隣街を目指していた……のだが
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