65: ◆QjbAJuMwBnbV[sage saga]
2019/04/09(火) 20:32:24.23 ID:s1hSY5J50
口々に一日を振り返りながら歩いていると
梨子「ねえ、花丸ちゃん」
ふと、梨子さんが立ち止り遠くを指さして言いました
梨子「あそこ、今日一緒に町を見渡したあの場所だよね」
花丸「うん。そうだね」
少し眩しくて、手で影を作りながら見ると
山の端に日が沈んでいて
桜尽くしの一日の締めにふさわしい眺めが目に入りました
夕陽に照らされた梨子さんと桜の景色…
梨子「花丸ちゃん…またふたりであの場所に行こうね。来年の桜を見に…ううん」
いつも通りの穏やかな声で
梨子「紅葉の季節でもいいよね…ううん、もっと早くても」
梨子さんの言葉を聞いていると、マルは少し寂しいような気持ちになってきて
梨子「どうかな?花丸ちゃん。次はいつ来ようか」
花丸「…明日…とかじゃだめかな」
梨子「えっ…」
花丸「もう、じきに暗くなるし、梨子さんのおうちまで結構あるし…今日はうちに泊まって、また明日もお花見なんて…えへへ…さすがに本当にくどいよね」
梨子「ふふっ…あはははっ」
花丸「な、なになに?」
梨子「あはは、急にごめんね。だって今日は二回目だから」
花丸「二回目?」
梨子「うん…私も今、花丸ちゃんと同じこと思ってたから…」
花丸「おなじこと?」
梨子「うん。まだ花丸ちゃんと一緒にいたいなって…あ、今朝の桜がくどいねっていうのが一回目でね」
花丸「そうだったね。…結局もっと桜まみれな一日になっちゃったけど」
梨子「明日も桜尽くしだよ。駅前の桜ケーキも桜クレープもまだ味わってないからね」
花丸「そ、そんなものまであるずら!?…梨子さんそんなにマルに気を遣って調べなくても大丈夫なのに」
梨子「花丸ちゃんのためじゃなくて、私が食べたかったんだよ?」
花丸「え?」
梨子「花丸ちゃんと一緒にね」
ほんの少しだけ間をおいて梨子さんが言ったとき
マルの顔は夕陽に染まっていました
梨子「だから、また明日も…一緒にお花見しようね」
花丸「うん」
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