152: ◆QjbAJuMwBnbV[sage saga]
2019/07/10(水) 22:03:56.24 ID:s2HbqQpM0
改めて教壇の上で咳ばらいをして、日本史の先生は授業終了の挨拶をして出て行った
時計を見ればもう次の授業開始の時間だ
間もなくチャイムが鳴り出すと、先ほど出て行った世界史の先生がまた駆け込んできた
先生「ご、ごめんなさいねお騒がせしちゃって!あ、あの休憩時間私のせいで無くなっちゃったからお手洗いとか行きたい人は行ってね?授業開始は10分遅らせるからね」
とても申し訳なさそうな顔をしながらそう言う先生
この先生は、今みたいに困ったり
先生自身が好きな内容の授業だと明らかに饒舌に早口になって
毎回生徒に指摘されて改めるというやり取りが、良くも悪くも定番になっていて
それでいて授業内容は丁寧かつ分かりやすいという不思議な先生で
生徒にも人気があります
マルも先生の授業は好きです
先生のことも好きなんだけど…
もう他のクラスは授業が始まっています
何人かトイレに出ていく生徒たちを横目に、小さい溜息
これでは梨子さんのところへ行っても授業中で、話なんてできるわけもありません
もしも、忘れ物に気が付いた梨子さんが
今の休み時間の内に部室に行ってて
そこに髪留めが無かったらどう思うだろう?
盗られたと思ったり?
…いやいや梨子さんはそんな風には思わないはず
でも、だけど…
頭の中に浮かんでは消える心配ごとで
授業の内容もろくに頭に入らないまま時間が過ぎて行きました
まだ放課後がある…
机の中にしまった花の髪留めを指先で確かめながら
マルは、何度も何度も心の中でそう繰り返していました
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