高垣楓「瞳に乾杯」-SS速報VIP

高垣楓「瞳に乾杯」

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1:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 17:57:25.32 ID:XvPKIJJF0

この業界だって楽しい事ばかりじゃない。
そんなのは入る前からもう分かりきってた事実だ。
けれど、そういう場所だからこそ、せめて。

アイドルにくらい、楽しい事ばかりを経験させてやりたいんだ。

SSWiki : ss.vip2ch.com

2:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 17:58:48.77 ID:XvPKIJJF0

　「――美味しいお料理と、きゅっとやれる何かがあれば、それで」

　「いやいや！世の中きゅっとやれるモンなんてそう無いですって！」

3:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 18:00:49.68 ID:XvPKIJJF0

　「――美味しいお料理と、きゅっとやれる何かがあれば、それで」

　「いやいや！世の中きゅっとやれるモンなんてそう無いですって！」

4:名無しNIPPER[sage]
2019/02/24(日) 18:01:34.89 ID:XvPKIJJF0
(>>3はミスです)

5:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 18:04:12.62 ID:XvPKIJJF0

軽く揚げられた右手に、そっと右手を重ねた。
叩くなど畏れ多くて出来やしない。
楓さんの指先にすっと掌をなぞられて、慌てて俺は手を引っ込める。

6:名無しNIPPER[sage]
2019/02/24(日) 18:06:26.46 ID:XvPKIJJF0

甘美なる姫君こと高垣楓さんのSSです

i.imgur.com

7:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 18:18:46.50 ID:XvPKIJJF0

　― ＝ ― ≡ ― ＝ ―

　「それで、どうされたんですか？」

8:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 18:33:42.31 ID:XvPKIJJF0

番組名からしたって音楽番組なのは疑いようが無い。
けれども最近は少し、トークの部分が多過ぎる気がする。
馴染みのDさんの担当だし、昔から出演させてくれてるしで、大っぴらには言えないが。

9:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 18:43:51.52 ID:XvPKIJJF0

　「ところでプロデューサー」

　「はい」

10:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 19:01:38.20 ID:XvPKIJJF0

　― ＝ ― ≡ ― ＝ ―

　「大きなお仕事です」

11:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 19:10:05.83 ID:XvPKIJJF0

少し、自分でも調べてみた事がある。
虹彩異色症。ヘテロクロミア。俗称、オッドアイ。
ファンなら気付く。そのくらいの微妙な差だ。

12:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 19:17:55.66 ID:XvPKIJJF0

組んでいた指に力が籠もる。
彼女の昔話を、俺は初めて聞く気がする。

　「この事務所に入ってすぐの頃、蘭子ちゃんが言ってくれたんです」

13:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 19:28:36.36 ID:XvPKIJJF0

楓さんは件の目を丸くしていた。
それから、ふっと肩の力を抜いて……笑い出した。

　「……ふふっ……愛されてますね、私って」

14:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 19:55:46.20 ID:XvPKIJJF0

　― ＝ ― ≡ ― ＝ ―

楓さんは綺麗だ。

15:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 20:04:59.64 ID:XvPKIJJF0

撮影は呆気ないほど順調に進んでいく。
尖らせ、笑み、射抜き、伏せる。
飛ぶ指示に迷わず合わせる様は、まさしくプロの手際と言って差し支えなかった。

16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 20:11:30.89 ID:XvPKIJJF0

　― ＝ ― ≡ ― ＝ ―

　「こっちですよ、プロデューサー」

17:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 20:24:58.26 ID:XvPKIJJF0

　「今日は忙しいですから。機会がありそうなのは、今くらいしかないですからね」

辺りに人の姿は無く、楓さんの片手には小箱。
箱の中はもう空っぽで、最後の一つと思しきそれが指先につままれている。

18:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 20:34:51.85 ID:XvPKIJJF0

触れた肩は驚くくらいに華奢だった。
力を込めるまでもなく、細い体も壁へもたれ掛かる。

見つめていた瞳が、まぶたに隠れた。

19:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 20:45:23.29 ID:XvPKIJJF0

　「プロデューサー」

　「はい」

20:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 20:45:56.58 ID:XvPKIJJF0

　甘い。

21:名無しNIPPER[saga]
2019/02/24(日) 20:56:30.17 ID:XvPKIJJF0

　「ん……」

瞳と、温度と、感触が離れていった。
離れた筈なのに、痺れるくらい、甘い。

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