【Another】恒一「……中村青司？」-SS速報VIP

【Another】恒一「……中村青司？」

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184:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:02:27.08 ID:FyaWLz+D0
＜災厄＞はただの＜現象＞で、何者かの意思なんてものは存在しない。
だからぼくが選ばれた理由にしても、そんなものはそもそもなくて、単なる偶然にすぎない。
あったとしてもせいぜい、「ぼくが怜子さんの家族だから、改竄が簡単」程度のものだろう。

でも……例え、それだけの話でしかないのだとしても。

以下略 AAS

185:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:03:29.36 ID:FyaWLz+D0
３２

結局、朝の挨拶からぼくと鳴の間に会話らしい会話が生まれることもなく、月曜日の授業は終わった。
鳴はホームルームが終わるなり鞄を持って席を立ち、すぐに教室を出ていった。
六限目の授業で分からなかったことを矢継ぎ早にぼくへ尋ねてくる勅使河原や、

以下略 AAS

186:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:05:10.66 ID:FyaWLz+D0
無理もないな、と思う。
霧果さんにとって棺の人形は、ただの作品以上の意味があったはずだ。
それに事件が起きてから、まだたったの二日。
鳴は「気にしないで」なんて言っていたけど、自分の人形を壊されて、堪えていないはずはない。

以下略 AAS

187:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:06:27.28 ID:FyaWLz+D0
◇

「いらっしゃい」

くぐもった声が、ぼくを出迎える。

以下略 AAS

188:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:08:20.32 ID:FyaWLz+D0
「鳴なら、さっき帰ってきたところだよ。部屋にいるはずだから、呼んであげようか」

そう言って傍らの内線電話に手を伸ばしかけた天根さんを、ぼくは慌てて制する。

「あ、今日は違うんです。その……人形を見たくなって」

以下略 AAS

189:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:09:40.07 ID:FyaWLz+D0
「あの……これ、ぼくじゃないです。払っていったのは、違う人ですよ」

今度は天根さんが目を丸くする番だった。

「違う人？　他にお客さんがいたのかい？」

以下略 AAS

190:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:10:48.79 ID:FyaWLz+D0
３３

二日ぶりの地下展示室は、全てが元通りになっていた。
階段下に立つ首なし人形は一体だけになり、その片割れは衝立の裏に戻されていたし、
こことエレベーターホールを区切るカーテンの手前には、蓋の閉ざされた棺がひとつ。

以下略 AAS

191:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:11:49.12 ID:FyaWLz+D0
となれば当然、鳴はこの館の"からくり"のありかを、知っていたことになる。
その鳴が、続きを語る場所としてこの地下展示室を選んだのだとすれば。

"からくり"はきっと、ここにある。そしてそれはきっと、事件にも深く関わっている。
そう思えてならなかった。

以下略 AAS

192:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:12:43.89 ID:FyaWLz+D0
事実として、棺はここに無かったのだ。
あの場面、放っておいてもぼくが制限時間を浪費するだけで、鳴にとっては有利でしかなかったのに。

この上なくシンプルにその理由を考えるなら、答えは一つ。
……鳴は、それでもやはりぼくに暖炉の中を見てほしくなかったのだ。

以下略 AAS

193:名無しNIPPER[saga]
2019/02/22(金) 22:13:53.63 ID:FyaWLz+D0
◇

暖炉の奥行きは、せいぜい１メートルといったところだった。
地下展示室の決して明るくはない照明の下でも、内部の様子は簡単に見てとれる。
赤茶色のレンガが敷き詰められた暖炉の壁や床面は、当然ながら灰やすすで汚れることもなく綺麗なままで、

以下略 AAS

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