9: ◆QvmnfoCmUs[saga]
2019/01/16(水) 07:28:14.95 ID:1UKtzxtK0
HRが終わると俺はすぐに教室を飛び出し、階段を駆け上がった。
先に着いておきたかったからだ。
4階から屋上へと続く階段を上がり、屋上へ入ることのできる扉の前まで来る。
いつも通りその扉は閉まっているわけだが、今日は屋上に用があるわけではない。
行き止まりで誰もよりつかない場所というのを求めていた。
案の定、彼女はまだきていなかった。
ふぅ、と大きく息を吐いて呼吸を整える。
俺が着いてから彼女が来るまでは10分程だったろうか。
しかし、まるで1時間くらい待っていたかのように感じられた。
ここに来た直後の熱は冷め、冷静さを取り戻していた。
コツコツ、という音がだんだん大きく聞こえてくる。
その軽やかなリズムに耳を澄ましていると、ひょこっと踊り場に顔を出した彼女が見えた。
黒く綺麗に光ったローファーからすらりとした足が伸び、深い紺色のスカートは膝上ほどまでかかっているだろうか。
踊り場の窓から傾いた太陽の光が差し込み、彼女の表情はよく見えないが、髪に透けて金色に輝いていた。
「突然呼び出してごめんなさい」
思いの外冷静だった。
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