鷺沢文香「埃を被る暇も無く」-SS速報VIP

鷺沢文香「埃を被る暇も無く」

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51:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 20:52:09.56 ID:0ZZcj/4u0

　― ＝ ― ≡ ― ＝ ―

　「それではー、次へと縁を繋ぎましょー」

52:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 21:26:45.82 ID:0ZZcj/4u0

隣に居たプロデューサーさんが口を開きました。
私は本を抱えたまま彼を見上げます。

そしてまた、彼より先に頷いてやりました。

53:名無しNIPPER
2019/01/04(金) 22:05:57.61 ID:0ZZcj/4u0

鮮烈な白に照らされた机は埃一つ被っていません。
静かに引いた椅子の音は、それでも会場に響き渡ってしまいます。

54:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 22:13:24.92 ID:0ZZcj/4u0

小さな小さな古書店で、一人の女の子が本を読んでいました。
そこはとても静かな場所。
誰も知らない世界の片隅で、女の子は本を読んでいました。

55:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 22:24:18.30 ID:0ZZcj/4u0

　「――めでたし、めでたし」

56:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 22:33:44.40 ID:0ZZcj/4u0

　― ＝ ― ≡ ― ＝ ―

今回、私の意識を六番目の星から引き戻してくれたのは、鼻孔をくすぐる温かな香りでした。

57:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 22:46:20.46 ID:0ZZcj/4u0

　「今度、アーニャさんと……長野まで行ってきます」

　「実家にかい」

58:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 22:53:12.17 ID:0ZZcj/4u0

最後の一口で空にしたカップをカウンターへ置き、叔父さんは指先を揉みます。

　「埃でも積もってしまいそうなくらいじっと佇んでいた君が、綺麗に着飾るようになって」

59:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 22:56:56.68 ID:0ZZcj/4u0

　「人は、変わる。進む。成長する。異論はあるかな」

　「…………いえ」

60:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 23:00:41.79 ID:0ZZcj/4u0

笑みに何かが混じりました。
ランプの灯りだけでは、探り当てる事も出来ず。

積み上げた書の一番上。

61:名無しNIPPER[saga]
2019/01/04(金) 23:06:46.88 ID:0ZZcj/4u0

何度も繰り返されたその一言に、私の頭が思索を巡らせようとします。
あぁ、あぁ、いけません。
それは、とても……いけません。

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