129: ◆eZLHgmSox6/X[saga]
2019/02/02(土) 23:23:10.92 ID:hoU/oQbZO
−もっとも、それらは実に些細な追加的説明にしかならない。一番の理由は、山城が嫌われ者で彼女自らも他者を拒絶する姿勢を見せていること、そして何よりもあの夜に姉達が放った言葉が、ますます真実味を帯びて那珂にとっての山城という人物像を固めていったことにあった。
こうして那珂には、最初は山城に対する漠然とした怯えが定着していった。次にその怯えは鎮守府生活への順応と共に、意識する必要がない程までに遠い距離感へと変容していった。そしていつの間にか、その遠い距離間ゆえに、山城のことを特別意識するということはほとんど無くなっていた。
それはちょうど、街を歩く時にすれ違う人々への態度に似ている。すれ違う知らない人々に対して、一々何か考えることなどあるだろうか。相手の進路を予測してぶつからないように歩くくらいである。
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