15:名無しNIPPER[sage saga]
2018/12/19(水) 23:40:02.90 ID:uEGK3sYu0
「それで? 結局、何が言いたいの?」
「僕が言いたいのは、たった一言です」
「だから、なに?」
結論を促すと古泉はおかしなことを口にした。
「僕は……寂しいのですよ」
「は?」
「理解出来ないのは無理もありません。僕自身、この感情を不可解だと思っています。それでも、どうしようもなく、寂しいのですよ」
寂しいと言われても困る。意味がわからない。
「古泉、わかるように言って」
「そうですね……疎外感、でしょうか?」
「疎外感?」
「はい。部内で男子は僕だけなので」
「それはたしかにそうだけど、私達は別に……」
「わかってますよ。除け者にされているとは思っていません。しかし、前は仲間が居たような……そんな気がするのです。不思議ですね」
また、前の話か。なんなんだ、それは。
部活動中、長門にも似たような話をされた。
考えても思い当たる節はないのに、気になる。
いや、それよりも今は古泉に伝えなくては。
「私は、古泉のことを、仲間だと思ってる」
これまでも、そしてこれからも、変わらず。
「だから、疎外感とか、感じる必要はないよ」
「……そう、ですか」
「うん」
「なんだか、口説かれているみたいですね?」
「元気出た?」
「はい、おかげさまで。それでは、また明日」
「うん、また明日ね」
手を振りながら、踵を返して、帰路につく。
「まったく、本当に貴女は……ズルいですね」
去り際の言葉は、聞こえなかったことにした。
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