【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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43: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/19(水) 06:09:19.80 ID:ER7oh7KA0


《〜幕間〜その1》



「……全く、騒がしい連中だな。美しさのかけらもない」


そう呟いたのは細身の軍人だった。

海軍上級将校の軍服はしわひとつなく整えられている。

縁なしの眼鏡と隙の無さ過ぎる鋭い目つきがやや険のある印象を与えるが、貴族的な顔立ちは眉目秀麗で、道を歩けば女性たちの視線を集めるだろうことは間違いない。


「……ですが、私たちは完敗しました」


傍らに立つ二人の大和型の艦娘が、彼女たちの【提督】に向かって、意を決したように言葉を発する。

演習で付けられた染料は全て洗い流され、その身体と艤装はもとの傷一つない輝きを取り戻している。


「奴らの艤装……私たちのものに比べれば確かに貧弱だった。傷だらけに見えた」

「ですが……私たちのものよりも……何倍も、何十倍も美しく思えました」


【提督】は応えない。


「……提督。私たちはお前の部下ではあるが、その前に艦娘だ。戦艦だ。戦う艦(ふね)なのだ。負けたままで終わることはできん」

「どうか、私たちに戦う機会を与えて下さい。傷ついた大和型戦艦の誇りを取り戻す機会を与えてください」

「……言ったはずだ。お前たちは存在するだけで充分な価値があるのだと。お前たちは何も負けてなどいない。何の傷をも負ってなどいない。気にすることなど何もない」

「「……提督!!」」


詰め寄ろうとする二人の艦娘には視線を向けず、彼女たちの【提督】は踵を返す。


「……鎮守府に戻るぞ、長居は無用だ」

「そんな……!!」





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