【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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130: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/20(木) 15:34:51.43 ID:dKCyvHSA0


――自分は阿武隈に、勝手な幻想を押し付けて。


「期待してくれたじゃないっ!」


――身勝手な期待のために、過剰に訓練や責任を押し付けて。


「鍛えてくれたじゃないっ!」


――存在もしない【軽巡・阿武隈】の理想の姿への憧れを、【艦娘・阿武隈】に勝手に重ねて。押しつけようとして。


「だから何よ! あなたがあたしじゃなくて! 【軽巡・阿武隈】しか見てなかったのにはムカついたけど! 許せないけど! ……でも、憧れて! 目指して! 追いかけたのはあたしも同じなのに! それも全部、間違いだって言うの!? ウソにするの!?」


がつん。がつんと。拳以上の衝撃で。

阿武隈の言葉が、北上の頭を揺らす。


「今までなに見てたのよっ! あたしを見てよっ! 今あなたの前にいる、あたしを見てよっ! あなたが鍛えて、あなたが育てた、今のあたしを見なさいよっ!」


言葉を叩きつけられるたびに、胸に染み込んでくるものがある。


「あなたに負けたくないから頑張ったのに! あなたに勝ちたいから強くなったのに! それをあなたが! 諦めろって、間違いだったって、終わりにしたいって、そう言うの!?」


身体を揺さぶられるたびに、心の中で剥がれ落ちていくものがある。


「あなたの後悔? 罪悪感? 自分の代わりに? そんなの関係ないわよ! 知ったこっちゃ無いわよ! だって! それはもう! とっくの昔に! あなたのじゃなくて、あたしの夢になってるんだから!」


――ああ。そうか。

――焦がれる程に憧れて。狂おしい程に追い求めて。

――それを押しつけようとしたことは、確かに自分の我が儘だったとしても。


――あの日のあの憧れが、輝きが。阿武隈(アイツ)に求めたあの姿が。阿武隈(コイツ)が求めようとするその姿が。


――間違いであるはずがない。間違いにしていい訳がない。


「なのに、ふざけないでよっ! 馬鹿にしないでよっ! あなたの理想の【阿武隈】なんか、絶対あたしが超えてやるのにっ! ……何で諦めようとするのよっ! 何で取り上げようとするのよっ!」


北上の胸元に額を押し付けるようにして叫び続ける阿武隈の声が、姿が、自分と重なる。かつての自分と重なり合って、錆びた心に火を点す。





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