【艦これ】阿武隈「北上さんなんて、大っ嫌いなんだから!」
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111: ◆axPwtNeSoU[saga]
2018/12/20(木) 00:19:47.14 ID:dKCyvHSA0


「……ねえ、阿武隈さん、五十鈴。 あなた達に想像できる? その時の北上さんの気持ちが」

「――心を持たない、ただの鉄の塊のままだったなら――たとえどんな理不尽な命令だったとしても従容として受け入れることが出来たでしょう。 ……実際、私たちは皆、『あちらの世界』で、そうやって過ごしてきた」

「――たとえ生まれ変わった後でその記憶にさいなまれる事があったとしても――それはどうしようもない過去の出来事として、なんとか前を向くことが出来たでしょう。……実際、私たちは皆、『こちらの世界』でそうやって過ごしている」


――確かに『あの戦争』『あの敗戦』の記憶によって何らかの心の傷を負っていない艦娘など一人もいない。

だが、それは――あくまでも遠い過去の、鋼鉄の記憶だ。艦娘として生まれ変わってからの、心や感情に裏打ちされた記憶とは訳が違う。

例えば、阿武隈や五十鈴自身にも、もちろん過去の自分の記憶は存在する。 だがそれは、言わば断片的なフラッシュバックが色褪せたコマ落としのフィルムのような形で幾つか存在する程度。 艦娘に生まれ変わってからの生き生きとした記憶とは全くの別物だ。



「……もしも今、『アレ』を積むようにと命令されたら、私たちは断固として拒むでしょう。 泣いて、暴れて、わめいて、拒絶して、逆らって……何がなんでも抗うでしょう。 そんな装備を積むのは嫌だと主張して。 積まれたとしても投げ捨てて」


「……その気にさえなれば、今の私たちには、自ら解体処分や自沈処分を選んででも、理不尽な命令から逃れることができる」


「……だけどもし、それさえも許されなかったらどう?」


「意志もある。感情もある。心もある。……なのに、異を唱えることも自分の身体を思い通りに動かすことさえもできず、かつてと同じように兵器として、道具として、命じられた通りの行動しか取れないとしたら?」




「ねえ……あなた達は、それに耐えられる?」




喩えるならば、声も出せず身動きも取れないまま、辱められ、汚され、陵辱され。涙を流すことさえ禁じられたのも同然だろう。






「そんなの……そんなの無理に決まってる。耐えられっこない……」


五十鈴が瞳に恐怖の色を浮かべて、呆然とつぶやく。

阿武隈も同感だった。




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