4:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:07:09.35 ID:wXX+fiS7o
――――――
私の母は、若いころからアイドルが大好きでした。
80年代の歌謡アイドルブームのさなか、当時一世を風靡した彼女たちのことを母は心から尊敬し、
彼女たちの歌は今でもすべて歌えると自慢げに語っていました。
そんな母の影響で、物心ついたころから私の周りはいつも懐かしの歌であふれていて、
その歌たちを心底嬉しそうに、身をゆだねるように聴き入る母の姿をずっと見てきました。
そして子守歌代わりにアイドルソングを歌ってくれる母の声で、毎日眠っていました。
私は隣にちょこんと座って、あるいはまどろみの中、詞の意味もよく分からないままにそんな歌たちを聴いていただけ。
けれども、そのメロディーはいつまでも色あせないやさしさに包まれていて、
楽しく、悲しく、そして熱く、
まるで耳に口づけをされるような、ドキドキとちょっぴりの恥ずかしさを織り交ぜた不思議な気持ちにさせてくれたり、
あるいは雲の中にいるような、柔らかな心地にさせてくれたり。
聴くたびにあらゆる感情を引き起こしてくれる歌たちに、
幼い私はあっけなく、その魅力に取り付かれていきました。
母とともに、
いつしか一人で、
最後には歌と振り付けも覚え、自ら母に聴かせるまでに。
そうしてずっと歌たちと一緒に過ごしてきたものです。
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